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火の玉



台風が通り過ぎた日暮れ後、ベランダで彼とおしゃべりしていた。
彼が「あっ!」と声を上げる。
つられて彼の視線を辿った先、木星の輝く南の空に眼を遣ると、強い光りの玉が長い尾を引っ張りながら通り過ぎていった。

私が眼にしたのは、わずか1秒ほど、だけど普通の流星よりも遥かにゆっくり。
そして、とても明るい。
何かが爆発したような発光だった。

今の、なに!? 花火? 花火はあんなに高く上がらないよ!? じゃあ飛行機!?

その時間帯は羽田を飛び立つ飛行機が多く、それこそ5分おきに目の前を横切って行く。
だけど、キラキラ輝いていたかと思うと、フッと消えちゃったから飛行機じゃない。

私たちはいったい何を見たんだろう?
ネットで調べてみると、普通の流星とはちょっと違う「火球(かきゅう)」のようだ。

それでもフェイクを見慣れてしまうと、あれもきっと作り物で、誰かに化かされているんじゃないだろうかと半信半疑。
宇宙の神秘的現象をあんなに間近で見られるなんてにわかには信じがたかった。
だけど、地球の上のちっちゃなエリアでちまちま暮らしていても、宇宙と繋がっているんだなぁ。

チェコのモルダバイトをいつも着けていたら、また見られるかしらん。
って、頭上に墜ちちゃったら困るけど。

2009年10月の夜。貴重な瞬間だった。

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